保育者研修の中で、ご質問を頂きました。
「なかなか、こどもとの時間を作って頂けない保護者がいます。お忙しいのはわかる
のですが、もう少しこどもと関わって欲しいのです。時間を作ってとお願いしているのです
が。どうやったら時間を作ってくれますか?」
といった内容です。
こうしたケースは、保育現場では 大変多くあります。
「時間を作ってください」
僕のところでは、これは「NGワード」になっています。
「少し 話をしたりする時間を作ってもらえないでしょうか?」
「時間がないんです。」
「ちょっと、忙しくて。」
こうした答えが返ってくると思います。
そうすると、この時点で この話は終わってしまうのです。
これには、理由があります。
それは、人は 「時間をつくること」には 敏感になるからです。
「時間を作ってください」と言われると、その内容に関わらず
必ず いったん 戸惑うのです。
特に、保護者からしてみると、「保育所」は、「働く時間を作ってくれる」という
「時間を作ってくれるサービス」だという思いが どこかにあります。
だから、「時間」という言葉には 非常に敏感になるのです。
保護者が欲しいのは、 やっぱり「時間」なのです。
では、どう 伝えたらよいのか?
それは 「行動」です。
それも 「わざわざ」時間を作る「行動」ではなく、
「ついで」の「行動」を お願いするのです。
例えば、
●もう少し、こどもとの関わりを増やしたいケースがあったら、
「こどもとの時間を作ってください」ではなく、
「お母さん、お風呂の時間に園で今日あったことを聞いてあげてくださいね。」
●なかなか 園での活動で順番を守れない子がいて、こどもと少し話をして欲しいのであれば、
「こどもと話しをする時間を作ってください」ではなく、
「自宅で一緒に遊ぶときには、なるべく順番に交互にやってもらう遊びをしてみては」
こうした 今すでに生活の中でやっている「行動」に 「ついでの行動」をプラスすること。
これが、ポイントです。
時間を「わざわざ」作るのではなく、
今ある「行動」に「ついでの行動」をプラスさせる。
これが、こうしたケースの「言葉がけ」のポイントなのです。(げんき)
相手が「いかに楽にできるか」「簡単にできるか」「時間を取らせないようにするか」
そこを考えることができると、先生のことばは、どんどん届きはじめます。(げんき)