「保育の質」を上げる。
よく目にし、よく耳にする 言葉 です。
もっと具体的に説明してください。
もし、そんなご質問があったとしたら、
「人」と「環境」の「質」を上げる。 ということです。
●「人」というのは、
保育者それぞれの能力を発揮させる。「プロ」に育てあげるということ。
●「環境」というのは、
こどもたちの保育環境を整え、そして職場環境を整えるということ。です。
「質」をあげるために必要な2つのもの。
それは「教育プログラム」と「環境管理技術」。
この2つです。
●「教育プログラム」というのは、「保育技術」だけでなく、働く労働者としての教育も
含まれます。メンタルヘルスやハラスメント、育児介護休業の知識なども そうです。
そうした教育は、もちろん 労働者としての自分自身の権利を守るという点でもそうですが、
何より、こどもを預ける「保護者」を理解することにも役にたちます。
「保護者の職場環境」というのは、密接に「こどもの保育」とつながっています。
●「環境管理技術」というのは、常に「保育環境」や「職場環境」をチェックし、そこに
問題が生じていないかを管理していく技術になります。
「保育環境」というのは、園内の環境だけではありません。
お散歩に出かける「道順」や「公園」などの安全・衛生環境のチェック。そして、「ヒヤリ・ハット」事案のチェックと改善策の検討。 そうしたことも含まれます。
そして、何よりも大切なのが「保育者の労働環境」の整備 です。
常に「人材」が不足し、「資格取得者」がこれほどまで多く眠っている。
その最大の理由が、この「保育者の労働環境」の整備の遅れだから です。
「保育の質」を上げることは、単なる「研修」の機会を増やすだけでは、
到底、追いつくことなどできないのです。
「保育士」を「保育者」としてみて、教育・指導する機会は、よく見られますが、
「保育士」を「労働者」としてみて、教育・指導する機会は、ほとんどありません。
この「2つ」は、タイヤの両輪です。
片方のタイヤが外れているから、進まないのです。
保育士の能力と意欲があがり、しあわせで元気でいられること。
それが、こどもたちの幸せにもつながるのです。(げんき)