最近、「保育者による虐待」のニュースが後を絶たず、本当に残念です。
ネットニュースやTVニュースを観るたびに 本当に胸が痛くなります。
先日、保育者研修会の中で、
「保育士による虐待のニュースをテレビで観て、本当に悲しくなります。
私自身も同じ保育者なので、想像はつくのですが、どうしたらなくなりますか?
どんな対策を園も保育士もとったらいいでしょうか?」
というご質問がありました。
大変難しい質問で、的確な答えを即答できるか 少し戸惑いましたが、
「僕が 普段感じていることでもいいですか?」と前置きをしてお話ししました。
「防止」(ふせぐ)というのには、2つのものが あります。
それは「当事者(本人)」と「周囲(まわり)」 です。
●「当事者(本人)」に対する防止は、
本人と直接話しをして「やらない」ように促すことです。
●「周囲(まわり)」に対する防止は、
見つけたり、気づいたら、一早く連絡をしてもらうこと です。
この2つ どちらが難しいと思いますか?
それは、もちろん「当事者(本人)」に対する防止の働きかけです。
難しい理由は、本人に「持論」があるからです。
意味もなく行っているわけではなく、本人なりの「持論」を持っているからです。
それが良いか悪いかは別として、そう簡単に意見があうことは難しく、
ましてや、口調が強かったり、相手が気性が激しかったりすると話し合うことさえ難しくなります。
「持論」を支えている、相手の気性や性格 を変えようとすることは、
できないことはないのですが、かなり困難で時間もかかります。
では、「周囲(まわり)」に対する防止の働きかけは どうでしょうか?
『見つけたり、気づいたら 一早く連絡してもらうこと。』
これは、徹底することは可能です。
ただし、条件があります。
それは、「確実に連絡した相手が対応できるかどうか」です。
「連絡してください」といった相手が、「信頼できるかどうか」
これが すべて です。
ちゃんと 当事者(本人)に対して説得し、やめさせることができるのか。
連絡をした 自分たち自身を守れるのかどうか。
そこに「疑問」が少しでもわけば、この「防止」の働きかけも微妙なものになります。
これは、何も「保育者の虐待」ケースに限ったことではなく、
「児童虐待の通報」や「事業所内でのパワハラ」なども まったく同じです。
『園でできること。』
もちろん園内のコミュニケーションも大切ですが、
やはり 一番重要なのは「保育観」が共有されているかどうかです。
そして、その「保育観」に「無理がないか」どうか
そこが「重要なポイント」になります。
どんな立派な「理想」を掲げても、そこに「無理」があれば、
それはいずれ 無理やり「理想」に近づけようとする「心理」が働きます。
人を鼓舞する「理想」は、みんなに「しあわせ」をもたらしますが、
人を追い込む「理想」は、いずれ 大きな「ふしあわせ」を生み出すのです。(げんき)