保育ソーシャルワークの
必要性

保育士の先生、幼稚園の先生、学童保育指導員の先生方へ

今日、「保育現場でのソーシャルワーク」の必要性を様々な場面で感じることがあります。

また、そうした保育者向けの研修も各地で開催されており、「保育ソーシャルワーク」という題名のついた書籍や「保育相談支援」の書籍も沢山出版されています。

 

僕は、学校現場でスクールソーシャルワーカーとして、小学校・中学校の現場で、「ソーシャルワーク」を行っておりました。その中で、幼稚園や保育所との連携という形で当初は、保育現場にもかかわりをもちながら、保育所の保護者の方や先生方からも様々な相談をお受けしておりました。

 

その後、スクールソーシャルワーカーとしてではなく、保育所での直接的な活動として、保育現場でにおいて「保育ソーシャルワーカー」として活動をはじめました。

 

その経験の中から、教科書には決して載っていない、現場でのノウハウや、苦労など、本当に現場で使える様々なノウハウを保育士研修、園長研修、幼稚園教諭新採研修などの機会でお伝えしてきました。

 

その中のほんの一部となりますが、このサイトを使ってみなさんにご紹介できたらと思っております。

 

 

『メンタル不調時の子育て支援の専門家』      

保育ソーシャルワーカー (保育士・精神保健福祉士)


(この文章は、このHPを開設した2012年当時に書いたものです。)

「保育ソーシャルワーク」をおこなうのは

私は、保育ソーシャルワークの担い手は、≪保育者≫であると考えています。

 

特に、主任保育士の先生方や園長先生に是非、≪ソーシャルワークの手法≫を実践して欲しいと思っています。

 

もちろん、保育所や保育士はソーシャルワークの専門機関や専門職ではありませんが、≪ソーシャルワークの手法≫を理解して、支援を行うことが必要になっています。  

 

 

≪保育者≫がソーシャルワークを担う理由として、いくつかあげてみると

児童福祉施設最低基準や幼稚園設置基準には、保育士や幼稚園教諭以外の社会福祉専門職がない。

 

保育の現場において、大きな問題は、保育者間の格差(正規職員と非正規職員)が存在していること。業務の内容はほとんど同じでありながら、賃金の格差が著しく、また逆に正規の職員がパート職の残業代を気にするために、すべての仕事を引き受けてしまい、バーンアウトする現状がある。そのような状況の中、新たに直接的な保育(ケアワーク)を行わない専門職の導入は、保育士の負担を減らすことはなく、そのため現場としては、積極的に導入は望まれていない。それよりも、保育士の数を増やすことや保育士の待遇改善、メンタルヘルス支援の方がより現場の保育を充実させることになる。

 

ソーシャルワーカーが配置され、常にソーシャルワークをしなければならないケースがそれほどあるとは思えない。そのため、ソーシャルワークをしない時間帯には、保育(ケアワーク)を手伝うといった、そうした状況が起こることは目に見えている。(実際にSSW の現場で、学校配置型のSSW は、学校ですることがなく、こどもたちと給食を食べ、遊ぶなどの本来のSW とは違う時間の過ごし方をしている場合が非常に多い。)そうした点から、保育(ケアワーク)も出来て、ソーシャルワークも出来ることが求められる。(保育の現場で、たまに社会福祉士の方が相談業務をしにきたのに、こどもの世話ばかりとおっしゃる方がいらっしゃるのですが、そうした日々の現場の中にしか答えはないと考える。)

 

しかし、現場でこどもたちのケアを行う保育士は、非常に雑務も含めると業務量が多く、また事故等が起こらないように神経をつかうことが多く、こうした業務負荷にさらにソーシャルワーク的な役割をもたせることは大変問題であり、保育者のメンタルヘルスという視点からいっても非常に問題があり、実際には難しいかもしれない。

 

保育士にソーシャルワークの研修を行う場合、土曜日についても、保育所は実際に運営している点を考えると研修は、2 回に分けて半分ずつの職員で行うことが多い。これは保育士の数が多い場合であり、少人数の保育士しかいない園では、全員が研修を受ける事ができない。そのため、全員が研修を受けることは難しい場合が多い。そうした点を考えると、現場を任せられる主任保育士の先生や園長先生に、時間をかけて実践的な研修を行うほうが現実的である。そして、現場の先生方に目の前で対応のやり方等を指導できるようになれば、園全体の相談・支援の体制も整い、一人の主任保育士に相談の負担が集中することを防ぐことが可能となる。一人の「ソーシャルワーカー」を配置するという発想ではなく、園そのもの、園全体で≪ソーシャルワークの手法≫を取り入れるという発想が必要だと考える。

 

こうした考えを持っています。

 

もちろん、予算的にソーシャルワーカーといった専門職を雇入れできる状況であれば、それにこしたことはないのですが、将来的にはそれもありうるとして、保育現場に今、最優先で必要なのは、「職員の処遇改善」だと思います。

今の段階では、やはり≪保育者≫ができる範囲で実施することの方が現実的であると考えています。 

 


  (2019年加筆)

7年経った現在もさほど、現状は変わってはいませんが、現場で活動している「保育ソーシャルワーカー」は確実に増えてきました。僕自身も、2012当時よりも確実に「保育現場」での相談支援活動をする機会が増えてきました。きっとここ数年で大きく変わっていくのだと思っています。現在、当研究所でも「保育ソーシャルワーカー」を募集しております(げんき) 



保育士の行う相談助言の限界

保育士がソーシャルワークや相談業務を行うにあたっての限界や問題点ももちろんあります。例えば、専門職としてのソーシャルワーカーが配置された場合、相談者とソーシャルワーカーの関係は、≪相談場面のみの関係≫となります。そのため、第三者として、相談者の話を相談者の立場に立って共感的に聴くことができます。保育士が行う場合には、日常的な関わりがあり第三者的な立場になりにくいケースもあり、また集団としてのこども、園にこどもを預けている他の家族の利害や調和を考えなければならない場合だと共感的に話を聴くことが難しい場合もあるかもしれません。課題は確かにあると思います。また、保育士も保護者もゆっくり相談できる【時間も場所】もないというのが現場の現実かもしれません。(げんき)


僕の保育ソーシャルワーカーとしてのアイデンティティ

ある女の子の姿を見て

ある家庭を訪ねていくと、そこで4歳の女の子がひとりで黙って窓から外を眺めていました。

僕がその子に話しかけようとすると、 口に指を持っていきながら、「しーっ」って。「ママね、おびょうきだから、ねてるから」。その部屋の奥の方で 横になって寝ているお母さんの姿を見つけました。

 

お母さんは、とても優しい いいお母さんです。でも、うつ病になってからは、なかなか子育てにエネルギーを向けられなくなっていました。その女の子も とてもお母さん想いの優しい子でした。だから、お母さんに迷惑をかけないように、お母さんが起き上がるまで、ご飯も我慢して、一人で 本を読んだり、ぬいぐるみで遊んでいました。

 

僕は その子にあってから 自分のやるべきことが わかり、様々な出会いの中で「今の自分」になりました。


『メンタル不調時の子育て支援』に特化したソーシャルワーカーです。


メンタル不調時、特に うつ病の方にとっては、子育てをするエネルギーが全くなくなってしまうことも多く、そうした際には、小さなこどもたちが 不安と苦しい思いをしてしまいます。

病気で イライラすることも きっとあるでしょう。そんな中で 自分の意に反して、感情が高ぶり、手をあげることもあるかもしれません。 メンタル不調で子育てが難しくなったり、自分が虐待してしまうのではないかという「虐待不安」から親子ともに苦しく、悲しい思いをしないように、様々な社会資源を利用するだけでなく、「保育士」としての経験と知恵を活かしながら、「メンタル不調時にもできる!子育て」のやり方を提案し、寄り添いながら お母さんとこどもたちをサポートしています。(げんき)

 

★相談・支援業務の中でも以下の内容を≪専門的≫に行っています。 (岸本元気プロフィール)

 

保育相談支援の中でも

 『メンタル不調時の子育て支援の専門家』

  ~メンタル不調(特にうつ病)の方の子育て支援に特化したソーシャルワーカーです。~

  • メンタル不調の保護者(特にうつ病、産後うつを専門にしています)、ご家族の支援、サポート 
  • DVのご家庭支援、児童虐待の疑いのある家庭へのアドバイス、支援
  • 発達障がいや子育てに不安をもつ保護者のサポート(小学校への就学サポート含む)

 

その他の支援の内容は、「親と子のメンタルヘルス研究所」でご確認ください。


「保育相談支援&保育ソーシャルワーク入門研修」のお知らせ


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